2019年のベストセラーの「ファクトフルネス」という本を、遅ればせながら今年になって読んでいます。この本の著者はハンス・ロスリングという方で、2017年にこの本を遺してこの世を去っています。
世界中の人々のネガティブな10個の思い込みを、データを用いて正しい考えに導いてくれる名著です。
今回はこの本で紹介されている10個の思い込みの内1つである、分断本能(「世界は分断されている」という思い込み)について解説します。
世界中の人々のネガティブな10個の思い込みを、データを用いて正しい考えに導いてくれる名著です。
今回はこの本で紹介されている10個の思い込みの内1つである、分断本能(「世界は分断されている」という思い込み)について解説します。
ファクトフルネス|分断本能「世界は分断されている」という思い込み
2つに分断しないと気が済まない人々
人は誰しも2つのグループに分断しようという本能があるとの事。例えば「金持ち」対「貧乏」、「西洋諸国」対「その他の国々」、「先進国」対「途上国」のように。
2つに分けるというのは、イメージしやすく、単純で分かりやすいです。しかし、この分け方は本当に正しいのでしょうか?
分断本能は正しいか?
「先進国」と「途上国」の分け方が正しいのか、データで検証しています。
「先進国」と「途上国」という言葉が定義され始めた1965年頃、その時代の所得の低い国は子供の死亡率が高い傾向にあり、そのため子供を産む人数も多い傾向にありました。そこで、当時の死亡率の高さと、1人当たりの子供を産む人数のデータから「先進国」と「途上国」に分けるとします。
1965年のデータではしっかり「先進国」と「途上国」に分類されましたが、同じ定義で分類すると、2017年のほとんどの国は「先進国」に該当します。
このように、時代と共に「途上国」は「先進国」に近づいており、2つに分類すること自体がナンセンスだと言えます。
この本では、所得のレベルを4つに分類し(レベル1~4)、また同じ国でもレベル2の生活をしている人もいれば、レベル4の生活をしている人もいると述べています。
分断本能を抑えるためには
平均値だけで比較しない
数学のテストの点数の平均点で、男性の方が女性よりも平均点が高かった場合、女性の方が頭が悪いとなるでしょうか?この中には点数の高い女性もいますし、点数の低い男性もいます。このように平均値だけで比較すると、平均値の中の個々の存在が希薄となり分断しがちです。しかし、実際は重なりも多く分断できません。
極端な数字で比較しない
格差の大きい国であるブラジルの所得上位10%の人が、ブラジル全体の所得の41%を得ている事実があります。これを聞くと、その他の人が全員貧困層であると勝手に思ってしまうが、実際は残りの大半が中所得層です。このように、極端な数字を聞くと、極端な想像をしてしまう傾向があります。
上から見る景色であることを思い出す
高層階から下を見下ろすと、2階建て、3階建て、平屋など同じように低い建物に見えます。同様に、レベル4の所得の高い層の人にとっては、レベル2もレベル3の生活も大して違いはなく同じ貧困層に見えます。しかし、実際はバイクを買える人、靴も買えない人など様々であることを知っておかなくてはなりません。
分断本能に関しての考察
私達は一目で理解できるのを好むようで、2つに分類するとか平均値とかで分けたがるのだと思います。しかし、実際にはその分断された中間に大半が存在する場合もあるということです。
実際の政治などで、この分断本能を悪用し恣意的に国民を誘導することも大いに考えられます。
分断されたものを見せられた時に、常に大半の人がどこに存在するのかを意識することが重要だと思われます。
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